長い沈黙を破る再会に立ち会ってしまった。


最近おじゃましだしたお客様のところで、親交を深めるためにお互いの身の上話をしていた。えらく長話をして、お互いの考え方など交換したところ、当初の印象と全然違う奥様の考え方を知ることができ、大変有意義だった。

さて、いよいよ業務へ…という矢先、私の居住地の話になった。

私の町の名前を言ったとたん、奥様の顔が期待に満ちた方向で険しくなった。

「もう長いこと会ってないけど、私の親友がいるのよ。昔酒屋さんをやってたんだけど…今は引き払ってどこかで会社やってるみたいなんだけどね。」と、力のこもったお話。

私は、

「全く同じ話を聞いたことがある。…というか、お客さんなんだけれど、同郷なので盛り上がったあげく、中学の部活仲間のお母さんの兄弟さんだったりして、更にご縁を感じちゃった方がいる。もしかして…」

と詳細を話し、確認してみたらば同一人物だった。


なんという偶然!

偶然にもほどがある!

いったい何分の1の確率なんだ??


お客さんと二人で最高に騒いだ末に、親友さんに電話してみることになった。

長いこと音信普通状態だったらしく、私の携帯電話にある番号が二人をつなぐことになった。


どんな反応が返ってくるのか…ちょっと見守る。

奥さんが電話をする間、関係ないかもしれないのだがドキドキしてしまった。

しかし、音信不通になっていたとはいえ「さすが、親友というだけある!」テンポの良い会話が聞こえてきた。安心である。


電話の終わりに私に代わってくれた。電話先からも「もうびっくり!わたしの親友なのよぉ」と同じ言葉。

…生活におわれて世界が小さくなって行ってしまうけれども、こういうことがあると気持ちのよりどころが増えて、またがんばれるかな。仕事がつらそうだった奥様に、笑顔が見られてとてもうれしかった。


さあ、一緒にがんばろう!